「看板ドック」誕生秘話③ 200件の大実験を経てついに完成!
「看板で悲しむ人を0にしたい」高倉社長の発想から1年余、看板の安全基準が出来上がりました。
それでは実際に看板をどうやって検査し数値を得るのか、となったとき、満を持したかのように現れたのが「非破壊検査」。
文字通り、検査対象物を破壊することなく検査する検査法です。
世田谷区議会議員Hさんのご紹介で非破壊検査会社のHさんを知ることとなりました。
非破壊検査機器で対象物に超音波を当てると波形が返ってきて、鉄部の腐食や損傷が〇%進行しているというのが、数値でわかるというのです。
看板でも検査できますか、と聞くと、いろいろなメーカーの機器を使ってやってみましょう、ということで機器の選定が始まりました。
5 社の非破壊検査機器のスペックを比較して、メリット、デメリット、コストなどの条件を調べた結果、看板の検査に適した機器が絞れてきました。
次はいよいよ実験です。
高倉社長が参加している異業種交流会「多士済々倶楽部」のH会長がお声がけをしてくださり、会員の会社様方に無償での実験にご協力いただけることになりました。
設置から20年以上経っている看板を200件、非破壊検査機器を使っての実証実験をしました。
〇判定:76%、△判定:19%、×判定:3%、検査不可:2%
という結果でした。
この実験では、非破壊検査機器の性能比較は勿論のこと、設置からの経年数ではなく設置環境で劣化スピードが違うことがわかりました。
看板には水分と塩分が大敵なのです。
水分や塩分に晒される環境下では経年数が若くても安全度は低くなっていました。
200件のデータが集まり、次はデータ解析です。
非破壊検査に限らない話だと思いますが、データを取ることはスタートラインです。
データを解析してトータルに判断し、報告書をまとめることが検査の肝要。
その工程の大変さを知る実験ともなりました。
着手から丸2年。
「看板ドック」はついに完成し、快適創造企業レガーロの商品として発売されました。
入社の翌週から開発に関わってきた私も感慨はひとしおでした。
しかし、いざ営業を始めて見ると、なかなか最初のお客様に巡りあえません。
私は、ここまで書いてきたような開発ストーリーも「看板ドック」の必要性も、詳しくお客様に話すことができました。
皆さん「いいですね」とはいってくださるのですが、どなたも買おうとはなさらないのです。
やっぱり、売れないのかな。
世の中に必要とされていないのか。
売れない理由はないはずなのに。
あれこれと考え、不安になる日々が続きました。
お客様は「そういう考え方も大事ですよねえ」と他人事のようでした。
看板を検査することの必要性は理屈ではわかってくださる。
しかし、自分のところで採用するところまでは心は動かない。
時代がまだついてきていなかったのだと思います。
「看板ドック」の開発を始めた頃「着想はいいけど実際に作るのは無理だよ」と否定された方が「できると思っていたよ」とおっしゃるのはちょっと愉快でした。
それはともかくまず売れなければ。
お客様目線の伝え方を模索しました。
大企業がある商品を採用するには外圧が必要です。
何かをきっかけに、企業への社会的な外圧が強まる。
すると担当者が上から「うちは大丈夫なのか」と聞かれます。
決裁権を持った上司にいわれた担当者が解決策を探しはじめる。
そこが私たちにとっての好機。
大企業の重い腰にも上がる「とき」があるのです。
「看板ドック」にもその好機がやってきました。
続きは次のブログで。