月刊 高倉

わんぱくプロヂューサーの快適創造奮闘記

2023.04.10

『月刊高倉』2023年4月号

「看板リペア」の着地点は新技術の炭素繊維を使ったリペア法

 

 

サステナブルサインのレガーロの「看板ドック」を採用していただき、検査とデータ解析の結果、補修の必要があると診断された箇所に手を入れるとその看板の延命が可能になります。

「看板は古くなったら壊して立て直す」が常識だった看板業界に「補修延命」を持ち込んだのが私たちサステナブルサインのレガーロです。

この看板はいまのまま手を入れなくても大丈夫なのか、補修すればまだ使えるのか、補修では安全が保てない状態なのか。

そこの見極めにまず非破壊検査機という電子機器を使います。

目視に頼る従来の検査方法とは違い、構造内部を電子の目で探査する検査方法です。

それによって得られたデータを当社独自の方法で解析し、産学協同で作った看板の安全基準に照らし合わせます。

結果を数値化してわかりやすいカルテによってご報告しますから、お客様には安心していただけることと思います。

「看板ドック」によって「補修延命ができる」という分析結果が出て、続けてサステナブルサインのレガーロにご用命いただけると「看板リペア」が発動します。

この春二つの企業様から大口の注文をいただきました。

合計37件の補修延命工事です。

サステナブルサインのレガーロにとって大きな挑戦であるだけでなく、看板業界にとっても新しい一歩。

工法の検討は慎重に進めました。

従来の補修延命で使っていたのは「当て板式」という工法です。

補修箇所に合わせて鉄で作ったものを持っていって溶接します。

この方法を看板に使うときに困るのが、お客様側に看板の図面がないということです。

もう一つは実際に補修箇所を掘っていくといろいろな形状が出てくるということ。

そこに予め作っていった鉄板は合いません。

歯の治療にたとえると、レントゲンで見つかった虫歯に先に詰め物を作ってから削りはじめるという感じでしょうか。

削ってみたら虫歯の部分が思いのほか大きかったとしたら、どうでしょう。

作っておいた詰め物では容積が足りません。

図面がないという問題、削ってみると補修箇所の形状がいろいろ出てくるという問題。

それらを解決するために当て板式以外の工法を探しました。

1年ほど前に非破壊検査機のメーカーの方から「炭素繊維を使った補修延命」の話を聞き、その炭素繊維を取り扱っている会社を紹介してもらっていました。

炭素繊維を使った補修延命は標識の世界ではすでに何百件という実績があるということがわかりました。

またこの工法は、国土交通省によって運営されるNETIS(新技術情報提供システム)に登録されていることも聞き、これは信頼できる工法であると判断しました。

補修延命を発注してくださったお客様がSDGsの観点から当て板式の工法以外を希望されていたことにもお応えできます。

当て板式だと溶接の技術者がいなければ施工できませんが、炭素繊維の工法ならばその点もクリアです。

実際の炭素繊維は軽量で、かつスダレのような形状のため巻いて持ち運びできます。

補修する箇所には炭素繊維を腹巻のように巻いてカバーするので、相手がどのような形でもその場で対応が可能。

まさに臨機応変が効く素材です。

そして、いよいよ今回の補修の現場に入りました。

やはり、お客様側に図面がない、掘ってみたら形が違う、の問題は起こっていました。

でも炭素繊維の工法で臨めば大丈夫。

外から見えないものを補修補強するのにはフレキシブルな炭素繊維がもっともふさわしいことを実証することになりました。

炭素繊維を使うことを決断して、ほんとうによかったと思っています。

じつは、標識の補修で実績があるといっても、それは公共事業の話でした。

民間では私たちサステナブルサインのレガーロが初の導入。

緊張感のある決断でしたが、大正解の結果となりました。

もしも当て板式で臨んでいたら、やり直しが続出で、赤字が出るし、工期も間に合わなかったでしょう。

炭素繊維のおかげで、利益が上がり、工期もお約束通りでした。

担当した社員も初めての挑戦で相当に緊張し、夜も寝ないで図面を確認したそうです。

彼にとっても達成感という大きなギフトのある仕事だったと思います。

社員の成長がサステナブルサインのレガーロの成長とイコールだと私は考えていますので、とてもうれしい挑戦とその成功でした。

これから先も「看板リペア」を採用してくださるお客様には炭素繊維を使った工法をご提案します。

当て板式にこだわるお客様には、看板の補修は開けてびっくりなことが多いのです、もしもそうだったら倍額請求させていただきます、とはっきり申し上げるでしょう。

お客様に損をさせることはサステナブルサインのレガーロとして不本意ですから。

パイオニアには生みの苦しみはつきものです。

「看板ドック」がそうでした。

「看板リペア」もそうなりました。

それでもお客様のために結果を出し、自分たちにも結果を出すことができるなら、苦労のしがいがあります。

看板の補修延命についても、サステナブルサインのレガーロをぜひご用命ください。