『月刊高倉』2023年3月号
SDGsに合致する「看板リペア」の素材と工法
『月刊高倉』前号で「2023年はサステナブルサインのレガーロにとって『看板リペア』元年になる」とお伝えしました。
「看板リペア」は、「看板ドック」で明らかになった看板の課題点をクリアして補修延命するパッケージ商品です。
「看板ドック」からシームレスに繋がりますから、お客様にはノーストレス。
「看板ドック」と同じく、サステナブルサインのレガーロのど真ん中に位置する商品になっています。
昨年来の「看板ドック」の好調を受けて「看板リペア」も伸びてきていましたが、この春は大手企業二社様から大きなご注文をいただいて、すでに延命補修作業がスタートしています。
看板の補修延命は従来「当て板式」という工法で行っていました。
補修する箇所に鉄板を当てて溶接する方法です。
今回の施工にあたって、企業様側から
「当て板式の補修はSDGsの観点からすると望ましくない。他の方法はないか」
というご要望をいただきました。
さっそくに、素材から見直すべく、新しい工法の検討に入りました。
「看板ドック」には非破壊検査機という電子機器を使います。
その名の通り、検査の対象物を破壊することなく内部の状態を知ることができるもので「看板ドック」はこれなしには成り立ちません。
この機器のメーカーから1年ほど前に炭素繊維を使った補修延命について話を聞き、その素材を取り扱っている会社を紹介してもらっていました。
実際に会社の方とお会いしたところ、鉄板の代わりに炭素繊維を用いて補修箇所の強度を高める工法で、公共事業の標識の世界では何百件という実績があるものだということがわかりました。
またこの炭素繊維を用いた工法が、国土交通省によって運営されるNETIS(新技術情報提供システム)に登録されていることも安心材料でした。
NETISとは民間企業などによって開発された新技術に係る情報を共有し提供するためのデータベースです。
この工法なら「看板リペア」のお客様の要望にお応えできると判断し、サステナブルサインのレガーロでも採用することを決めました。
これまでは公共事業でおもに使われて工法ですから「看板リペア」での採用は、ほぼ民間企業初ということになります。
当て板式の補修延命工事だと、現場までの鉄板の運搬が重い上にかさばって大変であったり、溶接できる職人さんが限られていて地方での対応が難しかったりしました。
その点、炭素繊維だと素材が軽くて巻いて運べる、溶接ではないので頼める職人さんの幅が広がる、などのメリットがあります。
SDGsに合致する素材や工法を使いたいけれども、従来の素材や工法より精度や安全性の点で疑問があるとか、使い勝手が悪いなとどいうことになると、本末転倒になってしまいますが、炭素繊維による補修延命にはその心配がありません。
国土交通省のお墨付きと公共事業での実績を持つ工法であると同時に、工事する側が扱いやすい素材であるという素晴らしさ。
技術は日々進歩しているということを痛感する出会いでした。
看板業界は長年「古くなったら立て替える」という価値観で動いていました。
古い看板は壊して捨てる、新しい看板を作って取り付ける。
当たり前ですが、これなら儲けは出ます。
しかし、それは看板業者からだけの視点。
お客様にとってのメリットは置き去りにされていました。
不景気が長引いていることと、世の中全体が「もったいない」の意識に目覚めてきたのは無関係ではないでしょう。
まだ使えるものを捨ててしまうのはもったいない。
経済的な観点からはもちろん、環境のことを考えると廃棄物を少なくする努力は当然必要です。
SDGsの考え方に注目が集まったのは自然の流れでもありました。
そして3年前からのコロナ禍が重なり、わたしたちはいよいよ生活全般の見直しを迫られるように。
看板業界だけが古い価値観のままでいていいわけはありません。
私たちサステナブルサインのレガーロはいちはやくそのことに気づき、「看板ドック」の開発に着手し、発売にこぎつけました。
その考え方を「看板リペア」につないで看板の補修延命を商品化し、さらに炭素繊維による工法の採用に至ったのです。
これが2023年現在の「看板ドック」と「看板リペア」の着地点。
「お客様の不便を便利に変える」というサステナブルサインのレガーロの基本姿勢を貫いた結果ここに到達できたことに誇りを感じています。
2023年、企業が自分たちの利潤だけを追求していては立ち行かないことがはっきりしてきています。
お客様のメリットを加えるだけでもまだ足りません。
商品が看板であるならば、環境への配慮と街の安全への貢献が不可欠な要素となります。
すべての課題を同時に考え、満足できる答えが得られて初めて、企業として正しく利潤を生むことができるのです。
「看板リペア」を採用してくださるお客様方に絶対の安全安心をお届けできるよう、サステナブルサインのレガーロは、これからも精進して参ります。